後遺症逸失利益とは、交通事故により後遺障害を負ったため、事故前の労働ができなくなって収入が減少するために失われる利益のことです。
後遺障害逸失利益は次の算定式で算出されます。は下記の通りです。
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
①基礎収入
基礎収入とは、事故に遭い後遺障害を負わなければ将来労働により得られたはずの収入です。
原則として事故前の現実の収入を基礎としますが、将来、現実収入額以上の収入を得られることを証明できれば、その金額が基礎収入となります。
②労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、事故前の労働能力を100とした場合に、事故により後遺障害を負ってしまったことにより、労働能力が何%減少したかを表すものです。
労働能力喪失率は、「赤い本」によると、「労働能力の低下の程度については、労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号別表労働能力喪失率表を参考とし、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断し具体例にあてはめて評価する」とされています。
③労働能力喪失期間
労働能力喪失期間とは、労働能力を喪失した期間が何年か、すなわち働くことができる年齢までの期間(就労可能年数)を表すものです。
労働能力喪失期間は原則として67歳までとされています。ただし、職種や能力等によって、67歳を超えても就労が可能であると認められる場合には、それを超えた分も算定されることがあります。
反対に、むち打ちなどの神経症状の場合には、後遺障害等級12級で10年程度、後遺障害等級14級で5年程度に制限される傾向にあります。
④ライプニッツ係数
逸失利益に対する賠償は、将来受け取るはずであった収入を前倒しで受け取るものであるため、その間の利息を控除ずる必要がありますが(専門的には「中間利息を控除する」という言い方をします)、将来の収入時までの年5%の利息を複利で差し引く係数のことをライプニッツ係数といいます。